前回に引き続き、広川町立図書館梶原館長と5名の司書の皆さん(大谷さん、高橋さん、中島さん、増永さん、村上さん)による座談会の模様をお届けします。
第2回は「イベント・企画展示について」。広川町立図書館で実施されているたくさんの取組みで、力を入れているところや、スタッフの皆さんが手ごたえを感じている点をお聞きしました。

 

※福岡県の緊急事態宣言の発出により、広川町立図書館は臨時休館しています。
休館中も予約貸出に対応していますので、詳細は広川町のホームページをご確認ください。
休館期間:2021年5月12日(水)~31日(月)


【イベントについて】

-次に、図書の企画展示や、イベントなどについて聞かせてください。
まずはイベントですが、どのようなものが行われているんでしょうか?
私自身が博物館に勤めていたことがあるので、博物館展示についてのクイズが行われているのは嬉しいなと思いました。

 

村上さんクイズは最近私が担当してます。正直、申込自体は多くはなくて…(笑)
必ず120%参加される方はいらっしゃるんですが、他の方は展示を見に行きたいと思われた時のみで、参加されないことが多いですね。

-ということは、参加すれば招待券がもらえるチャンスが結構ある、ということですね。

村上さん:お年寄りの方は気付かれない方も多いので、お声がけすると「ああ、こんなのあった」っていう感じで。そこから面白いようにチャレンジされるので、お声掛けする手ごたえはあります。
他にも、本屋大賞の受賞者や、芥川賞・直木賞の受賞者を当てるクイズなども開催しています。

「本屋大賞」の展示

 

-クイズ以外にはどんな取り組みがあるんですか?

村上さん「干支ラリー」といって、児童コーナーのどこかに隠されている子丑寅卯…の干支を探して、そこに書かれている12の文字から言葉を作るイベントがあります。
探すことでどのコーナーがどの辺にある、ということが分かる、図書館を知ってもらうためのイベントです。参加したお子さんには景品を差し上げています。

梶原館長:他に人気のイベントとして、10冊借りれば1回引ける「くじ引き」もありますよ。雑誌が120種類あるので、その付録を賞品にしています

中島さん:駄菓子屋くじみたいな感じで、付録に番号を付けてます。

梶原館長:去年はね、前公民館長さんが作ってくれたガチャガチャを回してもらいました。

-そういうイベントは楽しそうだし、利用者の方に喜ばれそうですね。

増永さん映画会やお話会も定期的に開催していますね。

中島さん:3月には「図書館マルシェ」として、リユース(再活用)本や保存期限切れの雑誌の配布を行いました。

村上さん:ご家族で段ボールを持って参加される方もいる(笑)、人気のイベントです。

-利用者の方の本気度が高いですね!
その他に、外部講師による講座も年4回開催されているそうですね。

梶原館長:それぞれ担当があって。

中島さん野菜講座。

高橋さん工作

梶原館長:工作は、今年は子供たちに読書感想画を描いてもらいました。

村上さんものづくり

大谷さん博多人形の絵付け体験

-なるほど。幅広くいろんなイベントを開催されているんですね。

※ここで紹介されたイベント以外に子供の本の読み聞かせなども実施されています。
また、小中学生を対象にした「読書リーダー養成講座」や、中高短大生による「ビブリオバトル」、0~6歳児までの子供がいる家庭に本を贈る事業などにも取り組んでいます。
こういった子供と本の関わりをはぐくむ活動が評価され、2020年5月に文部科学省の「子供の読書活動優秀実践図書館」に選ばれています。(以前、当ブログでもご紹介しました。)

【企画展示について】

-図書の企画展示についても聞かせてください。
カウンター傍のスペースで、頻繁に様々なテーマで図書展示が行われていますよね。展示テーマは皆さんで分担して選んでいるのでしょうか。

 

中島さん年間通して一人の担当者が展示を担当しています。

梶原館長年間の展示計画があるので、それに従って行います。後は社会情勢をみながら企画します。

中島さん:できるだけスポットのあたってないところを展示テーマにしたり、もうちょっと借りてもらいたい、という時などは計画を捻じ曲げたりすることも(笑)。

-担当者ひとりで年間の展示をすべて企画されるんですか!大変なのでは?

村上さん:展示計画は担当者が立てて、選書はみんなでしていますね。こういう本があるよ、って出し合ったり。

 

-なるほど。展示をするにあたって心掛けていることや、ターゲットなどはありますか。

中島さん:当館は高齢の男性の利用者が多いので、年一回は時代小説や、世界情勢の特集などのよく利用される方を目がけた企画をしています。他にも子育て世代や主婦層といった方向けには、生活に即した特集をおこなったりとか。やはり万人向けに、というよりもちょっと対象を絞った特集を心掛けていますね。

ただ、そのテーマに全然興味がなかった方が、展示を見て借りて下さることもあります。
毎年、芥川賞・直木賞の歴代受賞者の展示を行っていたんですけど、今年に限ってはちょっと目線を変えて、選考委員の本を企画展示しました。
そしたら、その展示を目がけてこられた方がいたんですが、もう次の、猫の本だけを置いた「猫フェス」という展示に変わってたんです。でもその展示を見て「猫になっとる」って言いながらも、結局借りていかれたりするんですよ。

-思わぬきっかけで新しい本との出会いにつながっていますね(笑)。

中島さん:(前の展示を覚えている方から)ここに置いてあったんだけど、って言われることが多いですね。貸出期間が延びている分、以前より展示期間を長めにしてはいるんですけど。

-今までで反応が良かった企画展示はどんなものがありますか。

中島さんお金と暮らしというテーマで、税金のことを絡めた展示ですね。
税金対策とか節約とかのお金に関する本を展示したんですけど、貸し出しが多くて図書の減り方が半端なかった。

梶原館長:税務署から、税の週間に合わせて展示をしてほしい、という依頼があって実施した企画です。税を納めるよりも節税の本の方が多かったんで、担当者が見に来た時にどうしよう、とちょっと焦りましたけど(笑)。

中島さん:他には、世界情勢の展示は貸し出しが多かったです。

-メインの利用者層に向けた企画はやはり反応が良いですね。
先ほど、カウンター業務の中で聞いた利用者の声を選書に反映する、というお話などもありましたが、日々の業務の中で手ごたえを感じていることを教えてください

中島さん:自分が担当した展示の図書がたくさん借りられていく時とか。

村上さん利用者の方に営業活動(声かけ)をして、クイズの参加率が上がること。
声をかけた時とかけなかった時の違いをみたことがあるんですよ。そこで、誰にも何にも言わなかったらクイズの参加は増えないとわかって。
もちろん、誰にでも声をかけるわけではなくて、例えば文芸書を3冊ぐらいまとめて借りられる方に、こんなのどうですか?と言うと割と喜んで参加してくださいますね。


次回はいよいよ最終回。「広川町立図書館の自慢!」を話していただきましたよ。お楽しみに! (冨永)

 

【広川町立図書館スタッフによるおすすめ図書紹介】
vol.1 vol.2
【広川町立図書館スタッフ座談会】
選書編 vol.1 イベント・展示企画編 vol.2 図書館の自慢!編 vol.3

 

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