久留米絣はシンプルな綿の平織物ですが、絣の一番の特徴である、わずかにかすれた独特の柄を出すためには、織り機にかける前に糸を染めたり巻いたり干したりと、たくさんの工程が必要になります。
その中でも久留米絣にとって一番重要な工程は?という質問をしたら、「括り」と答える人がほとんどでしょう。

「括り」とは織り上がりの柄に沿って染める前の糸を別の糸で縛り、部分的に染め残すための工程です。伝統的には「手括り」という、必要な個所を1か所ずつ手で括る技法が用いられますが、現在の主流は機械での括りです。

写真は括り職人のSさんの投稿から引用したもの。右下の大きいドットが規則的に並んでいるのが図案で、この図案通りに括られた状態の糸が左側の写真になります。

図案の色の濃い部分が染める箇所、白い部分が染め残す箇所です。
この図案ではドットに濃淡が付けられているので、「すくい」と呼ばれる技法でヨコ糸一本置きに染める/染めないを繰り返して中間の色を出します(図案ではグレーに見える箇所)。
糸束の写真をよくよく見ると、全部括られている糸束が並んでいる箇所と、一束ごとに括られている箇所が交互になっているのですが、お分かりになるでしょうか?

ヨコ糸の括りはパソコンソフトに図案を取り込んで制御しますが、湿度や気温によって糸の状態が変化するため、やはり職人の経験による細やかな調整が不可欠な大変な作業です。
職人の確かな仕事が久留米絣の大きな特徴である華やかな絵絣を支えているのです。

Sさんは、自ら情報発信する括り職人でもあります。
現場に携わっている人ならではの視点で、日々の仕事の中でのあれこれをInstagramに掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。

括りのことを知ると、久留米絣の見方がもう一段深くなると思います。 (冨永)

SHARE