いつも読みたくなる本が揃っている広川町立図書館。
図書館のスタッフによるおすすめ図書紹介vol.1、vol.2を掲載してきましたが、いよいよ2021年4月1日に実施した図書館についての座談会の模様をお届けします。
座談会では、広川町立図書館の梶原館長と5名の司書の皆さん(大谷さん、高橋さん、中島さん、増永さん、村上さん)に、図書館の設立について、選書、イベント、展示企画についてと、業務での工夫や日々の思いをたっぷり伺いました。
〈広川町立図書館について〉
広川町立図書館は館長の梶原さんと5名の司書さんをはじめとするスタッフによって運営されています。2014年7月オープンのまだ新しい図書館で、柱や梁などに使われている木材の木目も美しく、明るい雰囲気の空間です。
蔵書数は約8万冊。広川町内在住の方をはじめ、八女市、筑後市に住んでいる方、また広川町内に通勤・通学している方の利用者登録を受け付けています。
※福岡県の緊急事態宣言の発出により、広川町立図書館は臨時休館しています。
休館中も予約貸出に対応していますので、詳細は広川町のホームページをご確認ください。
休館期間:2021年5月12日(水)~31日(月)
【広川町立図書館の設立について】
―広川町立図書館はまだ新しい館ですよね。以前は町に図書館がなかったとお聞きしましたが、どういう経緯で設立に至ったのでしょうか。
中島さん:もともと広川町には図書館がなくて、町役場にちっちゃい公民館図書室があっただけだったんです。私は広川町に来て15~6年になるんですけど、図書室のことは知ってましたが利用したことはなかったです。
町民の方々の要望で図書館ができる、と聞いた時には、司書の資格を持ってることもあって、期待でわくわくしましたね。
増永さん:私もその図書室で働こうと思って応募した時に、「新しく図書館を立ち上げます」っていう話を初めて聞きました。
それまでの経緯はあまり知らないんですけども、町民の方のご意見があったとは聞いています。
-広川町に住んでみて、住民と行政の距離が近いなと感じています。町民の要望を受ける形で図書館が作られるというのは素敵ですね。
【選書について】
―利用者として図書館に来るたびに、新着図書コーナーにいつも新しい本があること、読みたい本に出会えることが本当に嬉しいです。
大きい取次会社に、選書からカウンター業務まですべて委託する図書館も増えている現状で、カウンターに立つ司書さんが本を選んで購入している、と聞いてさらに驚きました。
広川町は自治体としての規模は小さい町ですが、専任の司書さんが5名というのもかなり充実した体制での運営だと思います。
購入図書を選ぶ「選書」について、お聞きしたいのですが、大体どのぐらいの冊数をどのぐらいの頻度で購入されてるんでしょうか?
梶原館長:週単位で購入してますね。
村上さん:週によってばらつきはあるけど、多い時で100冊。少ない時は30~40冊の時もありますね。
中島さん:平均すると70~80冊ぐらいですね。
梶原館長:前の教育長が『本は大事だ』という考えだったので、町立図書館として十分な予算を取ってもらってます。
―6人で毎週80冊を選ぶためには参考情報が必要だと思いますが、資料などはどういうものを参考にしていますか?
中島さん:購入図書は主に新刊情報誌から選んでいます。
利用者の方の声を覚えておいて「そういえばこの間、〇〇さんがこういう本を読みたいな、って言ってたな」っていうのとか。
後は各々の得意な分野がありますね。
―得意分野の本などはどういうところから情報を得ているんですか?
書棚を見ていて、新聞の書評で取り上げられているような本以外でも面白いものが選ばれているなと感じています。書店に行ったときにチェックする、などの方法でしょうか?
中島さん:もともと好きな分野については知識がありますし、本屋さんでもこの本はうちの図書館にないな、というのは見ていますね。購入図書の偏りに気を付けながら選書しています。
梶原館長:当館では新聞を6紙購入していて、本に関する記載は全部切り抜いて保存しています。書評だけではなく、記事に掲載されている小さな情報なども含めて全部ね。それを参考にすることも多いですね。
専門家の方が勧めている本や、記事に取り上げられている人物が参考にした本などから購入図書を選んだりします。
―購入図書に偏りがないようにするために、具体的に心がけていることはありますか?
中島さん:必ず所蔵検索をかけて、同じような本を選ばないように、というところですね。
増永さん:公共図書館なので、専門的すぎる本は選ばないようにしています。
梶原館長:私が専門的すぎる本を選ぶとスタッフから「待った」がかかる。
「1冊2万円?そんな本買っても貸し出せません!」って(笑)。
村上さん:まだ蔵書数が乏しいジャンルの場所が多々あるので、選書の時はいつも気にかけています。
中島さん:利用者の方から、所蔵が少ないジャンルの本について問い合わせを受けることもあるので、書架整理の時などもそういうジャンルの棚にある本は心掛けて見ています。
―蔵書の偏りをなくしていくことを心掛けつつ、専門的すぎるものではなく、幅広い利用者の方に読んでもらえる本を選んで購入しているということですね。
梶原館長:これぐらいの町の公共図書館だからですね。
専門書を多く所蔵する大学図書館や県立図書館とも違う、町立図書館としてのスタンスを選書に反映させたい、というところです。難しいですけどね。
―広川町は久留米絣をはじめとした「ものづくりの町」ですが、地域に関わる本なども意識的に購入されているんでしょうか?
増永さん:(地域に関わる本は)片っ端からいれます。
梶原館長:見つけ次第、ですね。
中島さん:新しい図書館なので、古い資料の数が乏しいんです。見つけたらすぐ購入しますね。
梶原館長:購入する上での決まり事で、たとえ貴重な本が売られていたとしても古書は買えないのが悩みどころですね。久留米絣の本なんかも、もっと出ていると思うんだけどね。
―海外の絵本がたくさんあるなど、広川町立図書館は児童書コーナーもとても充実している印象があります。子供向けの良い本を揃えようというのも方針としてあるんでしょうか。
高橋さん:絵本の出版点数は膨大なんですけれども、実際のところ書架がもう満杯になってきている事もあって、出たものを全部買うことは出来ない状況です。賞を取ったものや一定の評価がなされたもの、あるいはシリーズで継続購入しているものなどを購入しています。
こまめにいろんな団体が出されてる選定リストとか、お勧めの本などはチェックして、いいものは購入するようにしていますね。
やはり新しい図書館なので、古いもので良書と言われるようなものがちょっと欠けてる部分もあったりするので、利用者の方やボランティアさんからの問い合わせで教えていただいたものを揃えるように心がけたり、といった感じで対応させて頂いております。
―絵本は絶版になりにくい傾向があるので、古いものも比較的入手しやすいですよね
高橋さん:そうですね。しっかり評価がなされてるものは、ずっと愛され続けてますね。
次回は図書館のイベント・展示企画についてのお話をお届けします。お楽しみに! (冨永)
【広川町立図書館スタッフによるおすすめ図書紹介】
vol.1 vol.2
【広川町立図書館スタッフ座談会】
選書編 vol.1 イベント・展示企画編 vol.2 図書館の自慢!編 vol.3