野村織物さんの染色場を見学させてもらいました。

大きな輪の状態(かせ)に束ねられた糸は染織機の中でゆっくり回転し、たっぷりと染料を浴びて染められます。
立ちのぼる湯気が見えるでしょうか。

久留米絣のシンプルな織り地にどこか奥行きのようなものを感じるのは、やはり糸を先に染めてから織るからなのだと思います。
タテ糸とヨコ糸が織り地の中で重なり合うときに生まれるわずかな陰影や、タテヨコで違う色味が出会って生まれる新しい色、そしてもちろん糸が織り合わせられて初めて完成する絣模様。

こうやって丹念に染料を糸の奥まで届かせる作業が、久留米絣の色の深みや豊富な柄を作り出しているのです。 (冨永)

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