2021年11月16日から30日までOrige倉庫を拠点にして竹職人・西本 有さんの滞在制作が行われました。
西本さんは大分県別府市在住、大分県竹工芸訓練·支援センターにて基礎技術を修得され、『有製咲処』の屋号で国内外で活躍されている竹職人です。

滞在製作中は町内の方がご家族で見学に来てくださったり、西本さんのご友人の竹職人の方、陶芸作家の方など多彩なお客様をOrige倉庫にお迎えすることができました。
作業の様子を公開したInstagramのストーリーズや、イベントの告知などを見ていただいた方も多いかと思います。

⁡今回の制作のために、竹すだれの株式会社鹿田産業さん のご厚意で「皮白竹(カシロダケ)」という八女地域特産の竹を伐採させてもらいました。

滞在製作中に開催したワークショップ「かご茶」は、その貴重な青竹を素材に用いた球体作りと、小川宝紀さんによる煎茶道宝山流のお手前を組み合わせたユニークなイベント。会場となった茶の葉堂さんのテラス席で、晩秋の空気を味わいながらのとてものびやかで楽しい雰囲気の会になりました。

作る人それぞれの個性が反映される球体作り。参加者の皆さんは、作業に没頭しつつ、ものづくりを楽しんでいました。無事に完成した後は、広川町の煎茶を美しいお手前で味わっていただきました。

もう一つのイベント「竹の世界に飛び込んで-西本有滞在制作発表会」は、SHOP編集のギャラリースペースを会場に開催しました。

トークイベントでは、まずは西本さんの学生時代、会社員時代、竹の訓練校時代と順を追いつつ、その時々に考えていたこと、好きだったものなどの話を。
そして、竹職人として独立して15年が経過した今、これまでの制作に加えて海外でのアーティスト・イン・レジデンスやインテリア装飾などの新たな分野へも進んでいこうとしていることについての心境も伺いました。
竹職人+アート、という転換点に気負わずに取り組んでいく姿勢が、いつも自然体の西本さんらしいと感じました。

ざるやかごなど、身近なようで意外と自分で扱うことは少ない竹という素材。
滞在期間中に私自身も初めて、丸竹を割ったり、竹の皮と実(内側の白い部分)の性質の違いやひごを作っていく手順などを体験させてもらいました。
節があり、ガラス質の皮があるという竹独自の制約と、そこから生まれる造形上の面白さ。伝統的な自然素材であり、生活から日本美術まで幅広く使われてきた竹は、まだまだ面白い変化の可能性を秘めています。
竹職人としての西本さんのこれからの活動に注目しつつ、今回はぐぐまれた広川町とのご縁をさらに大きく拡げていっていただきたいと思っています。

西本さん、お世話になった皆様、ありがとうございました。 (冨永)

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