蚕の繭をほぐしたものを「真綿」と言います。
先日、 九州国立博物館 のオンラインワークショップ「KURUKURU SILK」に参加しました。ワークショップで学んだ絹糸の紡ぎ方をもとに、今度は1人で糸を紡いでみました。

まず、資料として送っていただいた繭をふわっふわにほぐし、そしてその真綿を紡錘車(スピンドル)を使って紡いでいきます。
羊毛や綿の紡ぎはこれまでにも経験がありますが、この二つはどちらも短繊維。
対して絹は長繊維です。繭一つが蚕のはいた一本の糸からできています。(品種改良を経た現代の繭は、糸にするとおよそ1.5キロメートルほどの長さがあるそうです。)
真綿を紡いでみて、あっという間によりが掛かって糸になるところと、途中で途切れにくいところが、羊毛や綿とは全く違う素材なのだと感じました。

そしてもう一つの特徴は、独特の輝き。ふわふわの状態からよりがキュッとかかって糸になる瞬間にきらりと光るのです。
ワークショップの中でも、蚕は家畜化された数少ない昆虫だと紹介されていました。この美しい糸を何としても手に入れたいと思った人の気持ちがわかります。

紡いだ箇所のよりが戻らないように、水をつけながら糸を紡錘車に巻き取ります。初回(オレンジの縦糸のもの)は細く紡ぎすぎたので、今回はわざとゆるい部分も残して糸紡ぎを完了。

こちらもワークショップ用に送っていただいた段ボール織り機に、藍染の縦糸を掛けて平織りし、しおりを作ります。
ワークショップの時と比べて、間から縦糸が見えてちょっと味のある織りあがりになりました。
絹も綿もウールも、私たちの生活にとって身近な生地ですが、糸になる前の素材に触れることでその特性をより深く感じることができました。

化学繊維がなかった時代には、天然の素材から繊維を取り出し、糸を作り、染めて織るという手間が必要でした。日々の衣服を得るためには様々な工夫や努力が不可欠だったことでしょう。その積み重ねの中で、久留米絣をはじめとした地域の文化が育まれて今に至るのだと改めて感じました。 (冨永)

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