「糸偏の仕事」という言葉があります。
私もテキスタイルに興味を持つまで知らなかったのですが、要するに繊維産業全般を指す言葉です。
紡ぐ、染める、織る、編む、縫う、加工する…私たちの手に布や服が届くまでのすべての仕事が「糸偏」の仕事なのです。
繊維業界は先行きが見えない、問題山積みだ、と言われながらも、この言葉を口にする人たちはいつもちょっとだけ誇らしげで、プロフェッショナルとしての矜持を感じさせてくれます。

漢字は違いますが「糸編」を自ら社名に掲げ、繊維産地と企業やデザイナーをつなぐ活動を続ける宮浦晋哉さんが主宰する「産地の学校」。久留米絣産地の未来を考える「ひろかわ産地の学校」公開会議の第1回が2月22日に開催されました。

参加者は昨年度の産地の学校にご協力いただいた下川強臓さん(下川織物)、坂田和生さん(坂田織物)、野村周太郎さん(野村織物有限会社)、括り職人の園木新一郎さん(久留米絣広川町協同組合)、そして産地を熟知するうなぎの寝床の池田さんと筑後染織協同組合の古賀工場長という久留米絣産地の糸編の方々。
そして宮浦さん、テキスタイルコンバーターの島田さん、ひろかわ新編集プロデューサーの江副さんというメンバーが机に並んでいるだけで、何かが起こりそうなワクワク感です!
遠く山梨県富士吉田からのお客様をはじめ、製作や販売でテキスタイルに関わる方たち、産地研究をしている大学の先生など、多彩なゲストにも参加していただきました。

会議本編では、産業としての久留米絣に発信は必要なのか、という疑問や、素材の良さを体感してもらえる場づくりの必要性、産地の未来に関わる仕組みづくりまで、参加者それぞれの立場からの意見が出されました。
課題となっている人材の確保や、定着、働く人たちの待遇の話、久留米絣の存続への危機感などもみなさんがかなり率直に口にされていた印象があります。

「答えは出なくてもいいんです」という進行の江副さんの言葉の通り、何かを解決したりまとめたりするための会議ではなく、久留米絣の産地に関わる人たちが課題や意見や意識、感覚までを共有するような場を持てたことそのものが、今回のイベントの大きな意義であり、これからへの可能性につながっているのだと感じました。

今週末2月29日には「公開会議vol.2」が清澄白河の「リトルトーキョー」で開催されます。
東京のテキスタイルやファッション関係の方々も交えて、久留米絣や関わる人を知ってもらい、絣のさらなる可能性を探る場になる予定です。
新型コロナウイルス感染症の拡散防止の必要性から、参加の募集は行っておりません。が、実施後にレポートで会議の内容をご報告したいと考えていますので、引き続きどうぞご注目ください。

そして3月28日には前2回の成果を持ち寄ってさらに深める「公開会議 vol.3」が福岡市中央区薬院「B・B・B POTTERS」で開催予定です。
こちらの実施予定、参加募集などについても引き続きひろかわ新編集のホームページ、SNSなどでお知らせしてまいります!

公開会議 vol.3
日時 : 3/28  13:30-15:30(13:00開場)
会場 : 福岡市中央区薬院「B・B・B POTTERS」
〒810-0022 福岡市中央区薬院1-8-8 5F

 

 

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