明治から昭和の初期にかけて、嫁入り道具の一つとして作られていた「布団絣」。
今でいう掛け布団カバーですが、4幅、豪華なものでは5幅の絣を組み合わせて一つの大きな絵柄を描き出すという、大掛かりで複雑な「作品」と呼んでいいようなものでした。
高度な括りや織りの技術と手間暇を要するため、現在ではほとんど作られていません。
写真は山村健さんのお宅に飾られている布団絣です。こちらも4幅で一柄になっています。
この絣のように城(久留米城)を描いたものが多いため、別名「お城絣」とも言われます。
そのほかの柄としては、船(軍艦や宝船など)や、謡曲「高砂」の尉(じょう)と姥(うば)を描いた名品などが知られています。
久留米絣が作られている筑後地区では、嫁入り前に道具を飾って近所の人に披露する習慣がありました。
そのような時に、豪華で大胆な布団絣は、一際、訪れた人の目を引いたに違いありません。
アクロス福岡で開催中の「重要無形文化財久留米絣作品展2021」では、明治から昭和にかけて作られた貴重な布団絣が展示されています。
お近くの方はぜひお出かけください。 (冨永)
※作品展は終了しました。