先日、6月11日から3週間の予定で、オリゲに滞在しながら坂田織物で研修中のエリサさんにお話を伺いました。
工房にお邪魔した時は、丁度くくりの作業中。およそ1週間程かかる見込みで、今回のプログラムの中で一番時間のかかる作業だそうです。エリサさんも、下絵を写す段階までは順調に進んでいたので、まさかここまで根気のいる作業なのかと驚いていらっしゃいました。
アルゼンチン出身のエリサさんと坂田さんの出逢いは、ニューヨーク・パーソンズ美術大学での坂田さんの講義だったそうです。とても熱く楽しそうにお話される坂田さんに魅せられて、”できるかどうかではなく、やらなくちゃ!”と広川行きを決めたそうです。
来る前の想像と全く違い、まるで映画の中にいるようだと広川の印象を話すエリサさん。
このコンパクトな町には始まりから終わりまでの全てがある。絣を生産している現場だけでなく、その原料となる綿を育てている人があり、家の前の田んぼで採れたお米を食べる環境がある。広川での生活リズムは時間を追う毎に馴染み、それはとても心地良く、朝から作業を始めて、3時には皆でお茶をする、そんな毎日の中でまるで坂田織物の家族の一員になったようだと感じるそう。この感覚は、ニューヨークや母国アルゼンチンでは味わったことがないそうです。
実際に体験することにより、その価値を知ってもらうことが久留米絣を広めることにつながるとおっしゃる坂田さん。織物や染め物の経験者のエリサさんも、図案に沿った、経緯糸(たてよこいと)の括り染めを経て織りあげる絣を初めて知ったそう。こんな風に日本だけに留まらず、ひとり、またひとりと久留米絣を知り、触れてくださる方が広がっていくと良いなと改めて感じました。

 

エリサさんには、このアーティストインレジデンスプログラムを通して、坂田織物で学んだことや広川町の生活がどうだったかなどを、どのような形かで発表してもらおうと思いますので、その様子はまた報告させてもらいますのでご覧いただけると嬉しいです。

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