久留米絣の要は「括り」です。
「括り」とは、染める前の糸の束を麻の繊維〈アラソウ〉や糊付けした綿の糸でぐるぐると縛る工程のこと。括った部分は白く染め残り、織った時に柄になります。
実は、この括りを行わない久留米絣があります。「織締(おりじめ)」という専用の織り機を使う「文人絣」です。柄の細かさから「蚊絣」とも呼ばれています。
八女の下川織物さんで、この織締の機を見せてもらいました。ゆっくりとしたスピードで糸の束が織り込まれていき、「絣筵」と呼ばれる仮織りの生地が作られています。
一見、柔道着のようにも見える目の荒い生地を藍染めしてからほどくと、縦糸の部分が白く残ります。
このほどいた糸で織るのが文人絣なのです。
では、この糸からどんな柄ができるのか。それはまた明日ご紹介したいと思います。 (冨永)
参考資料:
『久留米絣』(久留米絣技術保存会、1969)
『織の海道 vol.03 奄美・鹿児島・久留米編』(『織の海道』実行委員会、2005)