クレモンティーヌのインタビューシリーズのラスト!綿貫が準備でてんてこ舞いなため、今回は冨永さんにインタビューをお願いし、文章を書いていただきました! どうぞお楽しみ下さい!
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帯などの日本の伝統的な着物地を使ったものづくりをしてきたクレモンティーヌが、広川町で出会った久留米絣。彼女にとってはいままで身近になかった日本の布です。 「久留米絣」という名前は知っていて、何となくの生地のイメージはあったそうですが、実際に久留米絣の生地に触れて、また、織元での製造現場の見学を重ねることによって、思いもよらなかった魅力を発見することになったそうです。 クレモンティーヌにとっての久留米絣の魅力を尋ねてみると、まず、絣の特徴である柄のゆれをあげてくれました。久留米絣の柄には、その名前の由来ともなっている独特の「かすれ」が見られます。「絣足」とも呼ばれるかすれは、染めや織りの過程のわずかな糸のずれによって生まれる、久留米絣の大きな特徴です。 プリントなどとは違い、規則的に並んでいる柄の一つ一つが微妙に同じではないところに、生地を作った職人の存在が感じられる布――それがクレモンティーヌにとっての久留米絣の魅力なのだそうです。 繊細なかすれによって柄にどことなく丸みがある感じや、今まで使ってきた古典的な模様の絹の帯地などと比べて、幾何学的でシンプルなデザインの生地が多くモダンな印象を受けるところなども、同じく久留米絣の魅力としてあげてくれました。 そして、実際に久留米絣の織元を訪れてみてクレモンティーヌが驚いたのは、織元ごとにそれぞれ特徴のあるものづくりをしていること。手織り、機械織りという大きな区分だけではなく、手織りと機械織りの両方を行っている織元や、機械織りの中にも藍染めを取り入れている工房、化学染料のみでのものづくりをしているところなど、織元それぞれに細かな違いがあるとは考えていなかったそうです。 そして、訪問した織元の人たちがとても親切に迎え入れてくれたことも印象的だったとのこと。どの工房もクレモンティーヌの訪問を歓迎してくれて、忙しい作業の中で時間を割いて久留米絣のことや作業工程についての説明をしてくれたそうです。こんな風に外部の人間を快く受け入れて、見学や買い物の対応をしてもらえるとは想像していなかった、と感激していました。 また、特に機械織りの織元については、フランスの製造業との違いを感じたそうです。機械織りという言葉から工業的な生産をイメージしていたそうですが、想像していたよりもずっと手仕事の部分が多く、規模もフランスの工場などと比べて大きくないところが印象的だったとのこと。 フランスではオートクチュールに使われるレースなどの高価な手工芸と、一般の消費者向けに大規模な生産を行っている工業製品とがはっきり分かれているそうです。 広川町の久留米絣工房は、手工芸と工業的な生産のちょうど中間に位置するものづくりで、こういったタイプの工房はフランスには存在しない、と感じたとのこと。 これまでファッションの世界で仕事をしてきて、手工芸にはあまり触れてこなかった、というクレモンティーヌ。久留米絣との出会いによって、ファッションの世界にももっと手工芸の良さを取り入れて、布にフォーカスした制作をしていったほうがいい、と考えはじめました。 そんなクレモンティーヌのこれからの制作や久留米絣とのかかわり方については、12月5日、6日にKibiruで開催されるアーティストトークでお話しする予定です。ぜひ会場にお越しください! (冨永)

photo shooted by @akiwatanuki at Noguchi Orimono in Hirokawa

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