趣味が興じてパンやクッキーを焼いてみたり、ベーコンを作ってみたり、コーヒーを入れてみたり、イチジクを発酵させてみたり・・・。色々と作っているうちにあることにふと気がつく。「おいしさ」とはなんだろうか・・・、口に入れたときに「おいしい!」と感じるものとはなんなのか。

例えば、パンも塩と砂糖が入っていないとなかなかそっけない。でも、砂糖や塩が入ってるからといって必ずおいしいと言い切れるだろうか。私の経験で恐縮だが、ドイツのライ麦パン「プンパーニッケル」というものは味も素っ気もないパンで、初めて食べた時も全くおいしいなんて感じなかった。そして今も「プンパーニッケルおいしいか?」とたずねられたら「そんなに・・・・」であるが、食卓にあれば、発酵バターをたっぷりつけてついつい食べてしまう代物でもある。

ではコーヒーはどうだろうか。今考えても苦い飲み物でしかない。コーヒーが嫌いな人に「コーヒーのどこがおいしいんですか?」と聞かれたら「苦味?」と謎の返答しかできないと思う。でも大好きで毎日飲んでいる飲み物だったりする。

どれもこれも好きで食しているにもかかわらず、おいしさをはっきりと答えることはできないものが多いように思うのだが、では旨味成分がアミノ酸でそれが全てなら話は簡単で、東京帝国大学・池田菊苗博士の墓前に手を合わせずにはいられないだろう。しかし、アミノ酸がおいしいのだろうか。特に人工的なアミノ酸が出回っているが、その類は何に入れても舌が痺れてしまう薬でしかないようにも思える。

味の五味、というものもある。旨味 甘味 酸味 塩味 苦味。
人は食べることを必須なこととして来た後に、楽しむことを考えた。そして年月をかけて研究開発されて来たにもかかわらず、「おいしさ」というものはまだぼんやりとしていて、だからこそ作る人は自分の答えを作って楽しめるのかもしれないなと思う。そして答えを見つけたと思ったらまた霧の中にモヤモヤと隠れてしまう気難しい奴でもある。

小麦粉と天然酵母のみでパンを焼いたら味も素っ気もなかったのだけれど、そういうものが「おいしさ」であって欲しいなと感じずにはいられない。(言い訳ではありませんよ)

ありがとうございました。

 

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